原著
膵頭部癌の切除範囲に関する病理組織学的研究―特に膵全摘術の適応について―
中迫 利明
東京女子医科大学消化器病センター消化器外科(主任:羽生富士夫教授)
膵頭部癌の膵全摘17例および膵頭切除63例,計80例を対象に膵全摘の適応にかかわる因子を病理組織学的に検討した.膵全摘17例の検討:1.尾側への高度の膵内連続性進展は35.3%(6/17例)に認められた.2.膵内非連続性癌病巣は1例も認められなかった.3.癌腫が膵頭部に限局する場合(10)(11)(18)リンパ節への転移陽性は11.8%(2/17例)に認められた.膵頭切除63例の検討:l.膵切除断端癌遺残は19.0%(12/63例)に認められた.2.(10)(11)(18)リンパ節への転移陽性は3.2%(2/63例)に認められた.したがって膵内連続性進展が膵全摘の適応を左右する最も大きな因子で膵切除断端癌浸潤の有無の検索にて膵全摘の決定を行うことができると考えられた.
索引用語
膵頭部癌, 膵全摘術, 膵頭十二指腸切除術, 膵管癌膵内連続性進展, 膵管癌膵内非連続性癌病巣
日消外会誌 19: 2382-2389, 1986
別刷請求先
中迫 利明 〒162 新宿区河田町8-1 東京女子医科大学消化器病センター消化器外科
受理年月日
1986年4月9日
 |
PDFを閲覧するためにはAdobe Readerが必要です |
|