原著
大腸癌肝転移に対する肝切除例の検討
根木 逸郎, 内山 哲史, 清水 良一, 城野 憲史, 古谷 卓三, 沖村 英二, 坂田 晃一朗, 西川 雅裕, 廣瀬 喜明
山口大学第2外科
最近の教室における肝切除を行った大腸癌肝転移8例について臨床病理学的に検討を加えた.
原発巣の組織はカルチノイドと粘液癌がそれぞれ1例ずつで,あとはすべて分化型腺癌でいずれも進行癌であった.同時性転移が2例で異時性転移が6例であった.血中CEAは測定例全例(5例中5例)が陽性で,ほとんどが20 ng/ml以上の高値を示した.なおこの間の肝転移のない大腸癌症例の血中CEA陽性率は41.4%(58例中24例)であった.この血中CEAは肝切除後急速に低下し2カ月までに正常域に復した.まだ追跡期間は短いが8例中3例が社会復帰しており,症例を選べば大腸癌肝転移に対する肝切除は有意義であると考える.
索引用語
大腸癌肝転移, 血中CEA, 肝切除
別刷請求先
根木 逸郎 〒755 宇部市小串1144 山口大学医学部第2外科
受理年月日
1986年5月14日
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