原著
大腸癌症例における血清carcinoembryonic antigenの臨床的意義
池原 照幸, 奥野 匡宥, 阪本 一次, 加藤 保之, 由井 三郎, 東郷 杏一, 鎗山 秀人, 梅山 馨
大阪市立大学第1外科
手術前後に血清CEA値を測定しえた大腸単発癌253例を対象とし,血清CEA値の臨床的意義について検討した.術前の血清CEA値の平均は6.6±9.1 ng/mlで,陽性(2.6 ng/ml以上)率は54.9%であった.術前の血清CEA値および陽性率は肝転移,組織学的壁深達度,腫瘍最大径,癌の進行度ならびに根治性などと比較的相関したが,癌腫の占居部位,リンパ節転移および組織型とは相関しなかった.治癒切除例において,術後3カ月目の血清CEA値が陽性を示す症例では,再発率が高かった.全手術例を対象とした場合,血清CEA値が高い程累積5年生存率は不良であったが,治癒切除例においては,血清CEA値と5年生存率との相関は認めなかった.
索引用語
大腸癌carcinoembryonic antigen
別刷請求先
池原 照幸 〒545 大阪市阿倍野区旭町1-5-7 大阪市立大学医学部第1外科
受理年月日
1986年5月14日
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