原著
大腸癌の臨床動向とポリープの癌化機転
金光 泰石, 鈴村 和義, 吉田 恭一, 鬼頭 正人, 黒田 博文, 加藤 健一, 成瀬 隆吉, 小池 明彦, 山本 貞博
愛知医科大学第1外科
1976年から10年間の単発大腸癌145症例を前期と後期に分け,その臨床病態の変化を検討した.大腸癌の症例数は前期に比べ後期では2.5倍と著明に経年的に増加した.発生部位も直腸癌の比率が減少し,S状結腸が増加した.術式面でも,結腸癌と異なり直腸癌では,直腸切断術が減少し前方切除などの肛門温存術式が増加した.
大腸ポリープの癌化に関する研究として,正常大腸粘膜,ポリープ,大腸癌のH3-thymidine標識像による細胞増殖動態を比較検討したところ,ポリープでは正常粘膜にある増殖帯と機能帯との区分が消失し,組織異型度に相関して異常増殖像を生じ,ポリープ癌では癌の標識態度とほとんど差がなくなることを認めた.
索引用語
大腸ポリープ, ポリープ癌, 大腸癌, オートラジオグラフィー
別刷請求先
金光 泰石 〒480-11 愛知県愛知郡長久手町大字岩作字雁又21 愛知医科大学第1外科
受理年月日
1986年10月15日
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