原著
微粒子活性炭によるリンパ節染色からみた胃癌占居部位別郭清範囲の検討
高橋 滋, 高橋 俊雄, 萩原 明於, 徳田 一1), 藤井 宏二1), 泉 浩1), 加藤 元一1), 竹中 温1), 沢井 清司1)
京都府立医科大学第1外科, 京都第2赤十字病院外科1)
R3以上の郭清により根治切除された胃癌症例123例のうち,65例で術前内視鏡下に胃癌周囲粘膜下層に微粒子活性炭CH44を注入し,所属リンパ節を黒染し郭清を行った.これらにつき壁深達度別にリンパ節転移を検索し,胃上部(C)癌と胃下部(A)癌で各リンパ節番号別に転移率・転移度および肉眼的黒染度を比較し,郭清の方針につき以下の結果を得た.
1)CH44のリンパ指向性と実際の転移はよく一致しており,en-bloc郭清の指標としてCH44はきわめて有用であった.2)早期癌ではR2郭清が必要であり,A癌ではNo.(12)の重点郭清が望ましい.3)pm胃癌では定型的R3手術が過不足のない手術と考えられた.4)ss以上の胃癌における腹部大動脈周囲リンパ節No.(16)転移陽性例は23.3%(17/73)と高率であり.No.(16)リンパ節の積極的な郭清をこころでみるべきであると考えられた.
索引用語
胃癌のリンパ節郭清, 胃癌の壁深達度, 胃癌の占居部位, 腹部大動脈周囲リンパ節, 微粒子活性炭(CH44)
別刷請求先
高橋 滋 〒602 京都市上京区河原町通り広小路上ル梶井町465 京都府立医科大学第1外科
受理年月日
1986年7月9日
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