原著
肝細胞癌手術における術中超音波検査の問題点と対策
竜 崇正*, 向井 稔, 有我 隆光, 長島 通, 高 在完, 天野 穂高, 古川 敬芳, 丸山 尚嗣, 磯野 可一
千葉大学第2外科(現:千葉県がんセンター消化器科*)
肝細胞癌手術における術中超音波検査の問題点およびその対策について検討した.術中超音波検査により肝細胞癌95例中92例が存在診断できたが,3例がfalse negativeとなった.切除標本で肉眼的に認められた門脈腫瘍塞栓は全例診断可能であったが,肝内転移巣の診断は特に5 mm以下で不良であった.術中超音波像で肝内転移巣と再生結節の鑑別をするのは困難であり,6例のfalse positive例を経験した.以上の問題点に対して,1)介在物質としてレストンを用いる,2)鑑別困難な低エコー部には,マイクロ波メスもしくはエタノール注入による凝固療法を行う,などの対策をとっており,その有用性が期待される.
索引用語
術中超音波検査, 肝細胞癌, 肝切除術
別刷請求先
竜 崇正 〒280 千葉市仁戸名町666-2 千葉県がんセンター消化器科
受理年月日
1986年6月16日
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