原著
肝内結石症に合併した肝内胆管癌7例と肝内胆管腺腫1例の臨床病理学的検討
太田 哲生, 永川 宅和, 小西 一朗, 東野 義信, 神野 正博, 秋山 高儀, 広沢 久史, 八木 雅夫, 泉 良平, 小西 孝司, 宮崎 逸夫
金沢大学第2外科
肝内結石症に合併した肝内胆管癌および肝内胆管腺腫8例の臨床病理学的検索を行い,以下の成績を得た.1)癌腫占居部位は結石存在部位よりやや上流側の大型胆管領域であり,組織学的には分化型腺癌が多く,主に管内性に発育する腫瘍として観察された.2)癌巣周辺部には種々の程度のatypical hyperplasiaが認められた.以上の成績より,肝内結石症に合併する肝内胆管癌の発生機序として,結石の機械的刺激そのものよりも,結石形成に伴う長期間の胆汁うっ滞と胆道感染の反復によって出現するatypical hyperplasiaが前癌病変として重要な役割を演じているものと推察された.
索引用語
肝内結石症, 肝内胆管癌, 肝内胆管腺腫, 胆管上皮異型上皮
別刷請求先
太田 哲生 〒920 金沢市宝町13-1 金沢大学医学部第2外科
受理年月日
1986年6月16日
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