原著
慢性膵炎の外科手術における術中超音波検査の意義
町 淳二, バーナード・シーグル1)
久留米大学第1外科, ペンシルバニア医科大学外科1)
偽のう胞を合併した60例を含む132例の慢性膵炎の手術に術中超音波検査を施行し,その臨床的意義を検討した.術中超音波が術前検査や術中所見では得られなかった新しい情報を提供した症例は,132例中合計93例(70.5%)にみられた.その内訳は,(1)術中診断(6.8%),(2)術中除外診断(22.0%),(3)病巣部位同定(26.5%),(4)病変および周囲臓器の解剖上の情報(15.2%)であった.術中超音波の応用によって予定されていた術式が変更された症例が,132例中20例(15.2%)に存在した.術中超音波検査は安全かつ簡単な手技で施行でき,術式選択やドレナージ部位決定,手術合併症や病変再発の防止などに有意義であることから,慢性膵炎の外科手術中にルチーンに利用することを推奨する.
索引用語
慢性膵炎, 術中超音波検査, 膵偽のう胞, 拡張膵管
別刷請求先
町 淳二 〒830 久留米市旭町67 久留米大学医学部第1外科
受理年月日
1986年6月16日
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