原著
大腸と他臓器との重複癌の検討
関根 毅, 須田 雍夫
埼玉県立がんセンター腹部外科
大腸と他臓器との重複癌症例18例(大腸癌手術症例全体の5.1%)について,臨床病理学的所見と術後の遠隔成績,癌治療における2次癌の発生を検討した.症例の内訳は同時性7例,異時性11例(大腸癌先行2例,他臓器癌先行9例)であった.臨床病理学的検討では大腸癌の占居部位は結腸では上行結腸(A),直腸では下部直腸(Rb),肉眼型は2型,組織型は高分化および中分化腺癌,壁深達度はss(a1)が多くみられる傾向を示した.術後の遠隔成績は同時性,異時性のいずれでも治癒切除が施行された症例では良好であった.癌治療における2次癌の発生は大腸癌先行では術後の化学療法継続中および終了後に胃癌,他臓器癌先行では術後の化学療法ないし放射線治療終了後に大腸癌が発見された.
索引用語
大腸癌, 重複癌, 2次癌
別刷請求先
関根 毅 〒362 埼玉県北足立郡伊奈町小室818 埼玉県立がんセンター腹部外科
受理年月日
1986年6月16日
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