原著
幽門側切除残胃再建における代用括約筋形成に関する実験的研究
浅江 正純
和歌山県立医科大学外科学講座(消化器)(指導:勝見正治教授)
イヌの幽門側胃切除術後の消化管再建において,約2 cm長の有茎空腸漿膜筋層移植を行い,代用括約筋機能を営ませる新しい再建術に関する実験を行った.胃排出では,本術式群は流動食の場合,標準Billroth I法(B-I)群よりも有意(p<0.001~0.05)に遅く,固型食の場合,非胃切除群と変わりなかった.ダンピングテストは本術式群0%に対し,B-I群100%陽性であった.ICGを利用した十二指腸液胃内逆流は,本術式群がB-I群の約1/3に抑制される傾向を認めた.移植空腸片の筋細胞は組織学的に線維化されることなく,電気生理学的に平滑筋として10~12 cycle/minで収縮運動を示した.本術式は今後臨床に十分応用可能と考える.
索引用語
代用幽門括約筋, 代用幽門括約筋形成胃切除術, 胃排出, 十二指腸液胃内逆流, 有茎空腸漿膜筋層移植
別刷請求先
浅江 正純 〒640 和歌山市七番丁1 和歌山県立医科大学消化器外科
受理年月日
1981年7月9日
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