原著
術前・術後合併症よりみた糖尿病重症度判定の試み
能美 明夫, 渡部 洋三, 織畑 道宏, 矢ヶ崎 喜三郎, 百瀬 隆二, 石井 康裕, 森本 俊雄, 佐藤 浩一, 大久保 剛, 佐々木 浩, 矢吹 清隆, 巾 尊宣, 川島 利信, 津村 秀憲, 近藤 慶一郎, 城所 仂
順天堂大学第1外科
著者らは,糖尿病の外科的重症度判定を目的として,術前に糖尿病と診断された手術症例を術前インスリン投与不要群,インスリン小量投与群(20 IU/日未満,low dose:L群)および大量投与群(20 IU/日以上,high dose:H群)の3群に分け,術前および術後合併症に関して検討した.術前合併症併存率は,インスリン投与2群(H群は76.0%,L群は71.4%)において,投与不要群の併存率20.3%より有意に高率であった.また術後合併症発生率は,投与不要群の11.4%と比較して,H群は40.0%と有意の高値を示し,L群も22.9%と高い傾向を示した.以上より,術前インスリン投与不要群を軽症,L群を中等症,H群を重症とする糖尿病の外科的重症度判定は有用であることが示唆された.
索引用語
糖尿病重症度判定, 糖尿病合併手術症例, インスリン投与不要群, インスリン小量投与群, インスリン大量投与群
別刷請求先
能美 明夫 〒113 文京区本郷2-1-1 順天堂大学医学部第1外科
受理年月日
1986年7月9日
|
PDFを閲覧するためにはAdobe Readerが必要です |
|