特集
胃上部早期癌における噴門側切除可能症例の術前・術中診断
平塚 正弘, 大東 弘明, 亀山 雅男, 佐々木 洋, 石川 治, 甲 利幸, 福田 一郎, 古河 洋, 今岡 真義, 小山 博記, 岩永 剛
大阪府立成人病センター外科
胃上部早期癌で胃全摘術を施行した67例(深達度m 28例,sm 39例)について検討した.リンパ節転移率は17.9%で,単発癌ではNo.(8)(11)に,術後に発見された多発癌ではNo.(6)に転移例がみられた.smの陥凹型では27.3%と高率であった.随伴IIbはIIc病巣より3.8 cm肛門側に広がる症例があった.多発癌の頻度は17.9%(12例)で,とくに隆起型では50%と高率であった.多発癌の見落とし率は25%であった.副癌巣と食道噴門接合部との距離は小弯線上で7.5 cm以上が7例(58%)であった.噴門側切除は噴門に近い小さい隆起型の早期癌に可能であるが,多発癌の術前診断を慎重に行い,術中に切除予定線粘膜の擦過細胞診と切除胃の断端迅速組織診を行う必要がある.
索引用語
胃上部早期癌, 噴門側切除術, 多発胃癌
別刷請求先
平塚 正弘 〒537 大阪市東成区中道1-3-3 大阪府立成人病センター外科
受理年月日
1986年11月7日
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