特集
上部胃噴門癌の手術方針―特に噴門側切除の適応基準について―
太田 惠一朗, 西 満正, 中島 聰總
癌研究会附属病院外科
胃上部癌の中には,上部局在癌,上部進展癌および噴門部癌の三者が存在し,おのおの臨床病理学的特徴が異なっており,治療に際して十分把握しておく必要がある.
癌研外科における胃上部癌の臨床病理学的特徴を明らかにし,治療法別に累積生存率を検討し,噴門側切除の適応を次のように設定した.1)Ce,C領域に局在し,広くM領域に進展せず,2)表在・準早期および限局型で,3)明らかな漿膜面浸潤を認めず,4)第1群以下のリンパ節転移で幽門上下および右側大弯リンパ節に転移を認めない癌である.術式の工夫で,噴切は安全かつ生理的で愁訴の少ない合理的縮小手術となってきた.
索引用語
上部胃噴門癌, 噴門側胃切除術, double tract N字吻合法
別刷請求先
太田惠一朗 〒170 豊島区上池袋1-37-1 癌研究会附属病院外科
受理年月日
1986年11月7日
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