特集
胃上部癌の手術方針―根治性ならびに消化管ホルモン動態よりみた手術術式の選択―
水本 清, 古本 豊和, 野坂 仁愛, 河野 菊弘, 小立 寿成, 西村 興亜, 貝原 信明, 古賀 成昌
鳥取大学第1外科
過去25年間に経験した胃上部癌165例について占居部位をC,CEとCMに分け,壁深達度別のNo.4d,5,6のリンパ節転移陽性率がどの程度あるか検討した結果から,C,CE癌ではS0であれば噴切,S1以上なら全摘が適応となり,CM癌ではすべて胃全摘が妥当と考えられた.また噴切後と全摘後の血清gastrin,secretin値を検索し,噴切後の高gastrin動態が,イヌを用いた実験で膵外分泌,消化管・膵へのtrophic actionで全摘よりも有利に働いていることを確認した.以上より噴切は全摘より膵外分泌,消化吸収面で有利で,術後代謝面でもすぐれた再建術式と考えられた.
索引用語
胃上部癌, 消化管ホルモン動態, 胃癌手術の根治性
別刷請求先
水本 清 〒683 米子市西町86 鳥取大学医学部第1外科
受理年月日
1986年11月7日
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