原著
胃癌患者における腹腔滲出細胞の抗腫瘍活性とOK432術前投与によるその変動効果
奥野 清隆, 中村 洋介, 高木 宏己, 国土 修平, 大西 博昭, 中村 哲彦, 犬房 春彦, 田中 晃, 浜田 宏, 岩佐 善二, 安富 正幸
近畿大学医学部第1外科
胃癌患者の腹腔滲出細胞を採取してその抗腫瘍活性の測定とOK432術前投与によるその変動効果を検討した.平均回収細胞数は(2.2±0.4)×107個で各臨床病期間で有意差を認めなかった.抗腫瘍活性の測定として,(1)lymphokine-activated killer(LAK)誘導能,(2)腹腔マクロファージの腫瘍増殖抑制能を検討したがLAK誘導能ではいずれの症例からも有意な活性は認められず,またOK432術前投与にても効果は認めなかった.腫瘍増殖抑制能ではStage II,III症例で比較的高い活性を認め(Stage I 16.3±6.0%,Stage II 45.0±4.4%,Stage III 23.0±9.0%,Stage IV 12.2±10.2%)またOK432投与にてその活性増強を認めたものの総体的にその抗腫瘍活性は高くなく,腹腔滲出細胞の局所防禦に占める役割は大きいものではないと考えられた.
索引用語
腹腔滲出細胞, cytostatic assay, lymphokine-activated killer細胞
日消外会誌 20: 1017-1021, 1987
別刷請求先
奥野 清隆 〒589 大阪府南河内郡狭山町西山380 近畿大学医学部第1外科
受理年月日
1986年9月3日
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