原著
切除不能転移性肝癌に対する塞栓癌化学療法の臨床評価
藤本 茂, 遠藤 文夫, セレスタ ラマ ドーザー, 宮崎 勝, 高橋 修, 志村 賢範, 菅沢 寛健, 河田 滋, 栗原 正利, 太田 正保, 十川 康弘, 奥井 勝二
千葉大学医学部第1外科
mitomycin C(MMC)5%を含有する直径45±8µmの小球体を用いた標的指向塞栓癌化学療法を切除不能転移性肝癌12例に対して施行し,同時期に行った持続肝動注10例と比較検討した.MMC小球体群と持続肝動注群の背景因子には有意差はなく,MMC小球体の総投与量は12.5±11.1 mg(MMCとして),持続動注群はMMC 32.9±17.8 mg,5-FU14.7±8.0 gを投与した.腫瘤縮小率と血中CEAの下降は両群間に有意の差は認められなかった.生存率の検定ではMMC小球体群の方がGeneralized Wilcoxon testにおいてz=8.302,p=0.0040,Cox-Mantel testにおいてもz=6.957,p=0.0084において優れており,両群を構成する胃癌,大腸癌の比較においても同様にMMC小球体が有用であった.MMC小球体の副作用が一過性に認められた.
索引用語
塞栓癌化学療法, 切除不能肝癌, 制癌剤含有小球体
日消外会誌 20: 1033-1037, 1987
別刷請求先
藤本 茂 〒280 千葉市亥鼻1-8-1 千葉大学医学部第1外科
受理年月日
1986年9月3日
 |
PDFを閲覧するためにはAdobe Readerが必要です |
|