食道再建胃の血行動態と縫合不全に関する臨床的研究

入村　哲也

杏林大学医学部第2外科学教室（指導：鍋谷欣市教授）

　胸部食道癌切除食道胃吻合術176例における縫合不全発生率は，26.1％で前期94例では31.9％，中期48例では22.9％であり，2期的吻合を主として採用した後期34例では14.7％と減少し，前期と後期との間に有意差があった．再建胃別では亜全胃20.4％，半切胃25.0％，大彎側胃管52.2％で縫合不全発生率に有意差を認めたが，ドップラー血流計による血流減少率は，再建胃の太さでは差はなかった．吻合部の血流減少率が50％以上，ドップラーシフト周波数で200 Hz以下，挙上吻合後では180 Hz以下の症例では，縫合不全が発生した．2期手術において1期と2期の間隔22.1±4.9日では，吻合部の血流は54.6±24.5％増加した．

索引用語
食道再建胃, 食道再建後縫合不全, 食道再建胃の血流, 2期的食道胃吻合

別刷請求先
入村　哲也　〒181　三鷹市新川6-20-2　杏林大学医学部第2外科

受理年月日
1987年4月15日

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