X線とcomputed tomographyによる胸部食道癌の他臓器浸潤の診断に関する研究

杉山　明徳

東京女子医科大学消化器病センター外科（主任：羽生富士夫教授）

　胸部食道癌128例に対し食道X線検査とcomputed tomography（以下CT）検査を施行し，他臓器浸潤の診断を行った．X線診断とCT診断を組み合わせて診断を行うことにより正診率は，overall accuracy 98.6％，specificity 99.4％，sensitivity 88.9％と診断能の向上をみた．とくに大動脈に関しては両者の総合診断が有用であった．気管・気管支に関しては食道X線検査は診断能の高い検査法であった．一方CT検査は浸潤の程度を知る上で有効な検査手段であった．心のうに関しては心拍動などの影響でsensitivityが66.7％と他の臓器と比べ正診率は劣った．本検査法は簡便でpoor riskの食道癌症例の他臓器浸潤の診断に有用な検査法と考えられた．

索引用語
食道癌, 食道X線検査, 食道computed tomography検査, 食道癌の他臓器浸潤

別刷請求先
杉山　明徳　〒317　日立市若葉町1-4-5　志村胃腸科外科病院

受理年月日
1986年9月3日

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