原著
食道癌術後のエンドトキシン血症
北村 道彦, 西平 哲郎, 平山 克, 河内 三郎, 加納 正道, 赤石 隆, 標葉 隆三郎, 関根 義人, 実方 一典, 吉田 和徳, 葛西 森夫, 矢島 義昭1), 森 和夫1)
東北大学医学部第2外科, 同 第3内科1)
開胸手術を受けた食道癌25例について,術前,術後の血中エンドトキシン(Et)値を合成基質法により測定した.術後にEtは全例陽性となり,その最高値はいずれも15 pg/ml以上と高かった.Et値は術直後ないし第1病日に最高値をとり,その後は比較的すみやかに低下する傾向がみられた.第7ないし第14病日にEt値が再上昇する例には高頻度で合併症がみられた.血中Et値の術後の増加の推移は,血小板数,血清蛋白の減少の推移と類似した変動パターンを示した.分割手術の検討で,食道再建術の方が食道切除術より術後のEt値が高値をとることから,再建臓器に対する手術操作や,再建臓器の循環障害がEt血症の発生に関与しているものと思われる.
索引用語
食道癌, エンドトキシン, エンドトキシン血症
日消外会誌 20: 1648-1653, 1987
別刷請求先
北村 道彦 〒980 仙台市星陵町1-1 東北大学医学部第2外科
受理年月日
1986年10月15日
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