原著
食道静脈瘤直達手術後胃十二指腸出血例の検討
梅北 信孝*, 出月 康夫, 三條 健昌, 川崎 誠治
東京大学医学部第2外科, *現所属 山梨医科大学第2外科(主任:上野 明教授)
1964年より1985年までに施行した種々の食道静脈瘤直達手術441症例について術後遠隔時の胃十二指腸出血率を検討した.術後出血例は70例(16%)で,うち胃十二指腸出血は44例(63%)であり,累積胃十二指腸出血率は5年9.7%,10年18.3%,15年20.1%であった.累積胃十二指腸出血率を各種の直達手術術式別に分けて検討したが有意差はなかった.
Child分類による肝機能別,吐血歴の有無別でも各群間に有意差はなかったが,疾患別では有意に肝外門脈閉塞症例での出血率が高かった.血行遮断の範囲の異なる各直達手術間で出血率に有意差のないことから,血行遮断の範囲は術後遠隔時の胃十二指腸出血率に影響をおよぼさないものと考えられた.
索引用語
食道静脈瘤直達手術, 胃十二指腸出血, 胃炎出血, 食道離断術
日消外会誌 20: 1654-1659, 1987
別刷請求先
梅北 信孝 〒409-38 山梨県中巨摩郡玉穂町下河東1110 山梨医科大学第2外科
受理年月日
1986年11月12日
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