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第20巻 第7号 1987年7月 [目次] [全文 ( PDF 1054KB)]
原著

慢性腎不全における胃粘膜障害の発生機序に関する実験的研究

福永 裕充

和歌山県立医科大学消化器外科学教室(指導:勝見正治教授)

 腎の部分切除術による慢性腎不全ラットを作成し,その胃粘膜変化を観察するとともに,粘膜防御機構に大きな影響をあたえる胃粘膜の微小循環と細胞動態を検索した.組織学的には,上皮細胞内のPAS,AB染色陽性粘液の減少と上皮細胞の変性,脱落による広範囲な基底膜の露出像が観察され,防御因子の減弱を認めた.微小循環動態の検索では,粘膜微細血管構築の異常および粘膜組織血流量の減少を認めなかった.3H-thymidineによるオートラジオグラフィでは,標識細胞数は約60%に減少し,粘膜増殖能の低下が示された.したがって,慢性腎不全時の防御因子の減弱は,粘膜増殖能の障害がおもな原因であることが示唆された.

索引用語
胃粘膜障害, 慢性腎不全, 胃粘膜微小循環, 胃粘膜増殖能

日消外会誌 20: 1667-1675, 1987

別刷請求先
福永 裕充 〒640 和歌山市七番丁一番地 和歌山県立医科大学消化器外科

受理年月日
1986年11月12日

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