経肛門的直腸内超音波検査法による直腸癌壁深達度診断の検討

山下　裕一, 納富　昌徳, 岡本　一廣, 諸富　立寿, 白水　和雄, 磯本　浩晴, 山内　胖, 掛川　暉夫

久留米大学医学部第1外科

　経肛門的直腸内超音波検査法の直腸癌壁深達度診断の正診率と問題点について検討した．
　直腸癌60例に本検査法を施行し，直腸癌壁深達度診断を行い深達度がSM'と判定した3例中2例66.7％，PM'と判定した5例中3例60％，SS'またはA₁'と判定した11例中3例27.3％，S'またはA₂'と判定した32例中24例75％，S₁'またはA₁'と判定した9例中4例44.4％が病理所見と一致し正診であった．一方，病理組織学的検討で癌の組織型および周囲組織に対する浸潤増殖様式（INF）と正診率との間には，一定の傾向は認めなかった．しかし，癌周囲の炎症細胞浸潤の程度が軽い程正診例が多く，強くなる程偽陽性例が増加したことより，誤診をおこす原因として炎症細胞浸潤が指摘された．

索引用語
直腸癌, 直腸癌壁深達度診断, 経肛門的直腸内超音波検査

別刷請求先
山下　裕一　〒830　福岡県久留米市旭町67　久留米大学医学部第1外科

受理年月日
1986年9月3日

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