原著
血漿遊離アミノ酸の変動からみた肝硬変症を有する食道静脈瘤直達手術後の特殊組成アミノ酸輸液の意義
鬼束 惇義, 松波 英寿, 矢野 好弘, 尾関 豊, 日野 晃紹, 林 勝知, 広瀬 光男
岐阜大学第1外科
食道静脈瘤を有する肝硬変症の血漿遊離アミノ酸を測定した結果,芳香族アミノ酸(AAA)の上昇と,分枝鎖アミノ酸(BCAA)の低下を認めた.これらの症例に食道静脈瘤直達手術を施行し術後の血漿遊離アミノ酸の変動を検討したところ,術前値よりさらにBCAA/AAA(モル比)は低下し,手術後2例に羽ばたき振顫が認められた.20例において術後に特殊組成アミノ酸製剤を輸液したところ,血漿遊離アミノ酸のインバランスは改善された.その際短時間に点滴輸液するよりはIVHにて24時間かけて輸液する方が効果的であった.また20例中術後肝性脳症を来した症例は1例も認められなかった.
索引用語
肝硬変症, 食道静脈瘤
日消外会誌 20: 1759-1762, 1987
別刷請求先
鬼束 惇義 〒500 岐阜市司町40 岐阜大学医学部第1外科
受理年月日
1986年11月12日
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