原著
高齢者における消化器外科手術後の臓器機能障害
滝浪 真
福島県立医科大学第1外科(指導:元木良一教授)
70歳以上の高齢者消化器外科手術症例100例を対象に,術後臓器機能障害を著者の基準により判定し治療開始後の臓器機能回復の推移を分析して,その成績と問題点を示した.
術後経過中70%の症例に何らかの臓器機能障害をみとめ治療の対象となった.術後早期(術後4日まで)障害は最も多かった(肝29%,腎27%,凝固系25%,呼吸18%,循環17%,精神神経14%,消化管4%)が,多くは軽・中等度障害で術後7日までには回復傾向をみとめた.晩期(術後8~30日)は縫合不全や重症感染症による2次的障害が中心で,発生率は低いが高度障害例が増加した.
手術死亡率は9%で,術前ショックを伴う緊急手術例の救命が今後の課題と思われた.
索引用語
高齢者外科, 術後臓器機能障害, 高齢者術後管理, MOF
日消外会誌 20: 1763-1771, 1987
別刷請求先
滝浪 真 〒960 福島市杉妻町4-45 福島県立医科大学第1外科
受理年月日
1986年9月3日
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