原著
クリアリング法による胃癌のリンパ節転移とsinus histiocytosisの検討
田中 晃, 犬房 春彦, 高木 宏巳, 八田 昌樹, 中村 哲彦, 浜田 宏, 泉本 源太郎, 岩佐 善二, 安富 正幸
近畿大学医学部第1外科
胃癌切除症例130例にクリアリング法を用いてリンパ節のsinus histiocytosisについて検索し,癌転移様式との関係を検討した.クリアリング法による検索リンパ節数は7,465個で転移リンパ節数743個,転移度10.0%,1症例当りの検索リンパ節数は57.4個で従来の触診法の25.5個に比べ倍以上に増加した.sinus histiocytosisはリンパ節が大きくなるほど,また,第1群から第3群リンパ節へと高次になるに従い高くなった.年齢・癌占居部位・肉眼型・組織型には影響されず,癌のstageと関係したが,癌の深達度よりもリンパ節転移により深い関係が認められた.このことはsinus histiocytosisの局所における防御反応としての意義を示唆した.
索引用語
クリアリング法, sinus histiocytosis, 胃癌リンパ節転移
日消外会誌 20: 1837-1843, 1987
別刷請求先
田中 晃 〒589 大阪府南河内郡狭山町西山380 近畿大学医学部第1外科
受理年月日
1986年11月12日
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