原著
常温下間歇的肝門部遮断による肝切除術に関する実験的・臨床的研究
奥山 耕一
順天堂大学医学部第2外科(指導:杉浦光雄教授)
硬変肝切除における出血量減少の目的で,5分間隔の常温下間歇的肝門部遮断を実験的・臨床的に施行,検討した.実験的には,雑種成犬40頭を用い,20分,40分間の肝門部遮断をそれぞれ施行し,遮断後の肝・空腸・下行結腸の組織血流量を経時的に測定検討した.遮断解除後の各臓器の組織血流量は,間歇遮断群に比べ,連続遮断群で有意に減少した.肝組織血流量は間歇遮断群で遮断前値と比べ有意の減少は示さなかった.臨床的には肝切除62例中,硬変肝切除28例に間歇遮断を施行し,術中出血量は遮断群で有意に減少し,術後肝機能の推移は非遮断群との間に有意差を認めなかった.以上より,本法は硬変肝切除時の出血制御に有用であると思われた.
索引用語
Pringle法, 間歇的肝門部遮断, 肝切除, 肝硬変併存肝癌, 水素クリアランス法
日消外会誌 20: 1883-1891, 1987
別刷請求先
奥山 耕一 〒113 文京区本郷2-1-1 順天堂大学医学部第2外科
受理年月日
1986年11月12日
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