原著
多種制癌剤同時懸濁リピオドールの動注療法―特に転移性肝癌に対する多剤併用による効果増強―
谷口 弘毅, 高橋 俊雄, 沢井 清司, 山口 俊晴, 下間 正隆, 伊藤 彰芳, 荻田 修平1), 常盤 和明1)
京都府立医科大学第1外科, 京都府立医科大学付属小児疾患研究施設外科1)
制癌剤を懸濁した油性造影剤リピオドール(Lipiodol)の動注療法に多剤併用療法を応用し効果増強 を試みた.すなわち,5-フルオロウラシルまたはカルモフール,アドリアマイシンおよびマイトマイシンCを同時にリピオドールに懸濁し(350~1,000 mg,20~40 mg,10~30 mg/5~20 ml),肝悪性腫瘍に対して動注したところ,転移性肝癌に対しては10例中7例(70.0%)に腫瘍縮小が,8例中7例(87.5%)に腫瘍マーカーの減少が認められた.本療法をさらに発展させ,種々の腫瘍に対してその腫瘍の性質に合わせて制癌剤を選べば,今後一層の効果が期待でき,将来有望と思われる.
索引用語
targeting chemotherapy, drug delivery system, 制癌剤懸濁リピオドール, 制癌剤多剤併用療法, 転移性肝癌
日消外会誌 20: 1892-1897, 1987
別刷請求先
谷口 弘毅 〒602 京都市上京区河原町通広小路上ル梶井町465 京都府立医科大学第1外科
受理年月日
1987年1月14日
|
PDFを閲覧するためにはAdobe Readerが必要です |
|