術中超音波検査による大腸癌肝転移のスクリーニング

町　淳二, 磯本　浩晴, 黒肱　敏彦, 山下　裕一, 白水　和雄, 梶原　賢一郎, 掛川　暉夫

久留米大学医学部第1外科

　大腸癌肝転移の検出能向上のために，新しいスクリーニング検査法として高周波装置を用いた術中超音波検査を100例の大腸癌手術時に施行した．その結果，従来の検査法では見落されていた16個の深在小肝転移巣（4～16 mm大）を12例に検出できた．肝転移巣検出に対する術中超音波検査のspecificity（特異度）94.9％は他検査と同等に高値であり，一方，術中超音波検査のsensitivity（敏感度）96.3％は術前超音波37.0％，CT 42.6％，術中視診触診59.6％に比べ有意に優れていた．術中超音波検査は従来の方法より高い精度を有する上，安全かつ短時間に実施できることから，肝転移巣スクリーニングのために，大腸癌術中にルーチンに応用することを推奨したい．

索引用語
術中超音波検査, 大腸癌肝転移, 大腸癌肝転移スクリーニング検査

別刷請求先
町　淳二　〒830　久留米市旭町67　久留米大学医学部第1外科

受理年月日
1987年1月14日

PDFを閲覧するためにはAdobe Readerが必要です