原著
遠隔成績からみた直腸癌に対する前方切除術の適応に関する研究
亀岡 信悟
東京女子医科大学消化器外科学教室(主任:羽生富士夫教授)
前方切除術151例と腹会陰式直腸切断術125例の遠隔成績を比較することにより直腸癌に対する前方切除術の適応に関し検討した.Kaplan-Meier法による累積5生率は全体では前方切除術68.6%,腹会陰式直腸切断術60.9%でDukes分類別,占居部位別比較でも両者間に統計的有意差は認めなかった.局所再発率は前方切除術15.2%,腹会陰式直腸切断術20.0%でDukes分類別,占居部位別にみても両者間に有意差はなかった.前方切除術の局所再発形式のうちAWからの再発はRsの1例(0.7%)のみであった.局所再発とAWの長さとの相関関係はなかった.肛門挙筋浸潤(-)の直腸癌ではaw(-)の条件下で吻合可能であれば進行度,占居部位にかかわらず前方切除術の適応とすることができる.
索引用語
直腸癌, 前方切除術の手術適応, 前方切除術の5生率, 直腸癌の局所再発, 腹会陰式直腸切断術
日消外会誌 20: 1938-1947, 1987
別刷請求先
亀岡 信悟 〒162 新宿区河田町8-1 東京女子医科大学消化器病センター
受理年月日
1986年12月10日
|
PDFを閲覧するためにはAdobe Readerが必要です |
|