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第20巻 第9号 1987年9月 [目次] [全文 ( PDF 557KB)]
原著

膵頭十二指腸切除術後の胃酸分泌ならびにガストリン放出についての検討

山下 裕一, 黒肱 敏彦, 兵藤 真, 磯本 浩晴, 掛川 暉夫, 笠原 小五郎1), 宮田 道夫1)

久留米大学第1外科, 自治医科大学消化器外科1)

 膵頭十二指腸切除術後の胃空腸吻合部潰瘍の発生要因について術後の胃酸分泌をガストリンとの関係から27手術例について検討した.15例の術後の胃酸基礎分泌量は0.114±0.184 mEq/h(Mean±SD)と低く,ペンタガストリン刺激後の最高胃酸分泌量も0.398±0.465 mEq/hと低値を示した.剖検例の検討からガストリンの主要存在部位は胃前庭部と十二指腸であり,これらの部位は手術により切除されるため術後にガストリンの放出は期待できないと推測された.そして,26例に行った試験食摂取によるガストリン検査では血中ガストリンの変動は認めなかった.以上より,PD後の胃空腸吻合部潰瘍の発生要因としてガストリンを介する胃酸分泌は考えにくく,迷走神経の関与が示唆された.

索引用語
膵頭十二指腸切除術, 吻合部潰瘍, 胃酸分泌, ガストリン

日消外会誌 20: 2103-2107, 1987

別刷請求先
山下 裕一 〒830 久留米市旭町67 久留米大学医学部第1外科

受理年月日
1987年1月14日

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