原著
十二指腸潰瘍穿孔の背景因子についての検討
上西 紀夫, 大原 毅, 定月 英一, 金子 正二, 佐野 広美, 藤間 利之, 城島 嘉昭, 浅倉 禮治1), 荒木 駿二1)
東京大学医学部第3外科, 公立昭和病院外科1)
過去25年間に経験した十二指腸潰瘍穿孔92例の背景因子について年齢の面を中心に検討を行った.その結果,平均年齢は過去20年間に約10歳高くなって来ていた.穿孔発症の季節や時間,穿孔前の潰瘍歴の有無に関しては,若年者と中・高年者とで異なる傾向が認められた.手術術式に関しては,広範囲胃切除術が主に行われていたが(80/92,87%),穿孔部閉鎖術の10例中7例は潰瘍歴の無い急性例で,穿孔より手術までの時間が経過している中・高年者の症例に行われていた.また,死亡例5例はいずれも重篤な併存疾患を有する中・高年者であった.したがって,十二指腸潰瘍穿孔は年齢によって差のある可能性が示唆され,それに応じた予防と治療が重要と考えられた.
索引用語
十二指腸潰瘍穿孔, 穿孔発症の季節, 穿孔発症の時間, 慢性潰瘍穿孔, 急性潰瘍穿孔
日消外会誌 20: 2108-2115, 1987
別刷請求先
上西 紀夫 〒112 文京区目白台3-28-6 東京大学医学部第3外科
受理年月日
1987年1月14日
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