原著
広範肝切除後のブドウ糖とインスリンの投与に関する実験的研究
難波 康男
岡山大学第1外科(指導:折田薫三教授)
70%肝切除犬を作成し,肝切除後6時間,2日,4日,1週,2週で,門脈内糖負荷を行い,肝と末梢組織におけるインスリンのとりこみと糖の出入りを糖負荷前と糖負荷時で検討し,以下の成績を得た.1)肝のインスリン摂取率は,肝切除後2日間で低下し,4日以後上昇した.門脈内糖負荷による影響をみると,肝切除後2日においてのみ上昇がみられた.2)肝切除前後において,糖は肝で一定量放出されていた.門脈内糖負荷時には,肝切除後2日間は放出のままで,4日以後は肝切除前と同じくとりこみを示した.以上より,肝にとって,インスリン投与は肝切除後2日では有用であり,糖過剰投与は肝切除後2日間は無意味ではないかと考えられた.
索引用語
広範肝切除, 門脈内糖負荷, 肝インスリンとりこみ, 肝糖放出, ブドウ糖利用
日消外会誌 20: 2122-2129, 1987
別刷請求先
難波 康男 〒723 三原市皆実町1427-1 医療法人里仁会興生総合病院外科
受理年月日
1987年1月14日
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