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第20巻 第9号 1987年9月 [目次] [全文 ( PDF 630KB)]
原著

ハムスター実験膵癌におけるalloxanの影響

石川 治, 大東 弘明, 佐々木 洋, 今岡 真義, 岩永 剛, 建石 竜平

大阪府立成人病センター外科, 同 病理

 膵癌発生における耐糖能障害の影響を知る目的で,N-nitrosobis(2-oxopropyl)amine〔BOP〕によるハムスター実験膵癌において,alloxan〔AL〕投与の影響をみた.AL投与群では軽度の耐糖能障害と組織学的に一部のランゲルハンス島〔ラ島〕に変性を認めた.BOP単独投与の場合と比較して,ALを前または同時に投与すると膵管上皮の異型巣・癌巣の発生数は軽度低下した.しかし杯状の粘液細胞から成る異型巣は増加していた.とくにこの種の異型巣はBOP単独投与群では主にlarge ductに認めたのに対し,AL併用群ではsmall ductにも多く発生しており,本病変の発生領域がラ島障害を契機機に末梢側へ拡大した可能性が示唆された.

索引用語
N-nitrosobis (2-oxopropyl) amine, alloxan, 耐糖能, 杯細胞

日消外会誌 20: 2147-2152, 1987

別刷請求先
石川 治 〒537 大阪市東成区中道1-3-3 大阪府立成人病センター外科

受理年月日
1987年1月14日

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