直腸癌のmagnetic resonance-computed tomography診断

井原　真都, 斉藤　典男, 更科　広実, 新井　竜夫, 布村　正夫, 高橋　一昭, 谷山　新次, 横山　正之, 井上　育夫, 鈴木　秀, 奥井　勝二, 古山　信明^1）, 樋口　道雄^1）, 守田　文範^2）

千葉大学第1外科, 同　手術部^1）, 同　放射線部^2）

　直腸癌術前診断におけるmagnetic resonance-computed tomography（MR-CT）検査の有用性を知るため，X腺CT検査の診断能と比較検討した．対象は進行直腸癌21症例である．腫瘍描出能の比較では，X腺CT 85.7％の描出率に対しMR-CTは95.2％と良好な成績が得られた．他臓器浸潤診断能の比較では，X腺CTにおいて偽陽性例が5例に認められたのに対し，MR-CTでは1例と少なく，X腺CTによる偽陽性例の除外診断に有用であった．リンパ節転移診断能では，MR-CTはX腺CTに比較し造影剤を使用せずに血管の描出が可能なこと，inversion recovery（IR）像により小さなリンパ節の描出が可能なことなどのため，感受性において優れていた．以上の結果より，MR-CTは直腸癌術前の補助診断法において有用な検査法と考えられた．

索引用語
magnetic resonance-computed tomography, 直腸癌, 直腸癌腫瘍描出能, 直腸癌他臓器浸潤度診断, 直腸癌リンパ節転移診断

別刷請求先
井原　真都　〒280　千葉市亥鼻1-8-1　千葉大学医学部第1外科

受理年月日
1986年12月10日

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