原著
消化器外科手術前後のantithrombin III測定の意義
井上 晴洋, 杉原 国扶, 山下 哲男, 桜沢 健一, 竹村 克二, 波多野 誠, 毛受 松寿, 飯島 正道1), 山崎 繁2), 遠藤 光夫2)
九段坂病院外科, 同 中央検査部1), 東京医科歯科大学第1外科2)
消化器外科23症例について術前術後におけるアンチトロンビンIII(以下ATIII)を中心とする変動パターンを調べた.ATIIIは1PODで術前値の約80%に低下し,4PODで改善傾向をしめし(術前の90%),7PODでほぼ前値に復するという変動パターンをとった.他例に比べて低下傾向をしめす症例が5例認められたが,いずれも化膿性胆管炎をはじめとする重症感染症をもち術後の回復に難渋した症例であった.したがってATIIIの測定はDICにまでいたらない症例においても他のマーカーにおとらず病態の把握に有用であった.とくに1PODから4PODにおける改善の有無が術後回復期のよい指標になると考えられた.
索引用語
antithrombin III, antithrombin IIIの術後変動, DIC準備状態
日消外会誌 20: 2191-2196, 1987
別刷請求先
井上 晴洋 〒113 文京区湯島1-5-45 東京医科歯科大学第1外科
受理年月日
1986年12月10日
|
PDFを閲覧するためにはAdobe Readerが必要です |
|