原著
胸部食道癌のリンパ節転移と食道リンパ流について
馬場 政道, 黒島 一直, 田辺 元, 夏越 祥次, 吉中 平次, 川崎 雄三, 喜入 厚, 牟礼 洋, 福元 俊孝, 松野 正宏, 愛甲 孝, 加治佐 隆, 島津 久明, 西 満正1)
鹿児島大学医学部第1外科, 癌研究会外科1)
胸部食道癌の適切なリンパ節郭清範囲を知るために,44例にリンホシンチグラフィーを行い食道のリンパ流を検討し,さらに,両側頸部・上縦隔郭清50例の転移状況と対比した.胸部上・中部食道癌で頸部,上・中縦隔,胃上部リンパ節群,下部食道癌で下縦隔,胃上部,腹腔動脈周囲リンパ節群に高い転移率を認めた.頸部リンパ節ではNo.104とNo.101の下方,上縦隔ではNo.106右,左が転移率,RI uptakeともに高い.上・中部食道から頸部に至る直結型リンパ流のため,両側頸部郭清は対側の上縦隔郭清と同じ意義を有し,下部食道からは,大動脈周囲リンパ節といえども豊富なリンパ流を認めており,これらの部位の検索と郭清を今後積極的に検討すべきである.
索引用語
胸部食道癌リンパ節転移, 食道リンパ流, RIリンホシンチグラフィー
日消外会誌 20: 2269-2277, 1987
別刷請求先
馬場 政道 〒890 鹿児島市宇宿町1208-1 鹿児島大学医学部第1外科
受理年月日
1987年3月11日
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