原著
経静脈的糖負荷試験による胃癌患者の耐糖能に関する検討
近藤 高志, 桜井 秀樹, 松本 文夫, 小出 真, 中川 浩之, 松本 俊彦, 前川 武男, 渡部 洋三
順天堂大学第1外科
胃癌症例34例に経静脈的糖負荷試験を施行し,その成績をstage別,癌腫の大きさ別に比較検討した.stage別ではstage I,II,III,IVの4群に,また癌腫の大きさ別では早期癌をA群,進行癌を腫瘍長径が5 cm以内をB群,5~10 cmをC群,10 cm以上をD群の4群に分けた.血糖値はstage III,IVおよびC群がそれぞれstage I,A群にくらべ有意に高値を示した.IRIはC群,D群がA群にくらべ有意に低値を示した.Insulinogenic lndexはC,D群が,ΣIRIはD群がA群にくらべ有意に低値を示した.以上,stage III以上,腫瘍径5 cm以上の進行癌で耐糖能低下が認められた.この耐糖能低下の原因として癌患者の栄養低下による影響が大きいと考えられた.
索引用語
胃癌症例の耐糖能, 経静脈的糖負荷試験, インスリン
日消外会誌 20: 2313-2316, 1987
別刷請求先
近藤 高志 〒113 文京区本郷2-1-1 順天堂大学医学部第1外科
受理年月日
1987年4月15日
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