原著
肝癌に対する術前合併療法の評価
中本 実, 成瀬 勝, 柳沢 暁, 秋田 治之, 高橋 恒夫, 長尾 房大
東京慈恵会医科大学第2外科
実質臓器での肝癌の治療成績向上のために術前合併療法の必要性を検討した.当施設における術前合併療法は,肝細胞癌にはリピオドール,化学療法,肝動脈塞栓術と温熱療法を,胆管細胞癌には放射線法療を行っている.肝癌切除後再発率は,術前合併療法では4/17例,23.5%であり,切除のみの群は12/16例,75.0%と合併療法は良好な結果であった.生存率に関しても術前合併療法群は5年生存率は61.6%,切除のみの群では4年生存率37.8%であった.組織学的変化では,残存腫瘍細胞の存在がみられなかった症例が4/22例,18.2%に,有効例が11/22例,50.0%にみられ,合併療法の効果期待がもたれ,今後積極的に施行すべきと考えた.
索引用語
術前合併療法, 温熱療法, 放射線療法, 肝動脈塞栓術, 肝癌切除後再発率
日消外会誌 20: 2339-2345, 1987
別刷請求先
中本 実 〒105 港区西新橋3-25-8 東京慈恵会医科大学第2外科
受理年月日
1987年3月11日
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