原著
直接胆道造影における胆管内圧とcholangiovenous reflux発生について―内視鏡下バルーンカテーテル胆道充満造影時の臨床的検討―
吉本 英夫, 郭 仁宣*, 池田 靖洋**, 田中 雅夫, 松本 伸二, 中山 文夫
九州大学第1外科, *中国医学院外科, **福岡大学第1外科
内視鏡下にバルーンカテーテルを用いた胆道充満造影法を施行する際に,造影剤の充満圧とcholangiovenous reflux発生との関係を検討した.検討しえた32例中2例においてballoon ERC後に静脈血培養陽性となり,胆汁中細菌と同種の菌が検出された.2例の胆管内圧は30.4 cmH2Oと38.0 cmH2Oであった.Balloon ERC後の血漿ヨード濃度上昇例の最低胆管充満圧は22.9 cmH2Oであり,22 cmH2O未満は10例中0例,22 cmH2O以上30 cmH2O未満は9例中5例(55.6%),30 cmH2O以上は13例中9例(69.2%)にヨード濃度の上昇をみた.直接胆道造影施行時の胆管内圧を30 cmH2O以下にすれば,臨床的に比較的安全と思われるが,ヨードアレルギーを有する症例では胆管内圧を22 cmH2O以下に抑えるべきと考えられた.
索引用語
cholangiovenous reflux, 胆管内圧, 直接胆道造影
日消外会誌 20: 2350-2354, 1987
別刷請求先
吉本 英夫 〒814-01 福岡市城南区七隈7-45-1 福岡大学医学部第1外科
受理年月日
1987年4月15日
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