特集
高齢者食道癌の外科治療―術前リスク評価と手術適応上の問題点について―
田中 乙雄, 武藤 輝一, 佐々木 公一, 鈴木 力, 宮下 薫, 川瀬 忠, 長谷川 正樹, 片柳 憲雄
新潟大学第1外科
70歳以上の高齢者胸部食道癌89例について術前リスク評価と術後合併症,手術成績との関連より手術適応上の問題点について検討した.術前リスク評価では70歳以上の症例に重要臓器機能の障害を持っているD群の占める割合が高かった.肺合併症の発生率は70歳以上では69歳以下と比べ有意に高い値をしめし,特にD群で高率に発生をみた.術後合併症の発生と在院死亡率との間には相関を認めず70歳以上の群と69歳以下の群でも在院死亡率には有意差を認めなかった.5年生存率は69歳以下の群と70歳以上の群との間に有意差を認めず,高齢者といえども慎重な術前後の管理を前提とするならば十分手術適応はあると考えられる.
索引用語
高齢者食道癌, 術前リスク評価, 術後合併症
日消外会誌 20: 2417-2420, 1987
別刷請求先
田中 乙雄 〒951 新潟市旭町通1-757 新潟大学医学部第1外科
受理年月日
1987年5月6日
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