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第20巻 第10号 1987年10月 [目次] [全文 ( PDF 601KB)]
特集

高齢者食道癌手術の適応判断―生体防御面よりの検討―

斎藤 貴生, 膳所 憲二, 桑原 亮彦, 宮原 正樹, 下田 勝広, 平尾 悦郎, 小林 迪夫

大分医科大学第1外科

 食道癌58症例を70歳以上(24例),60~69歳(22例),59歳以下(12例)の3群に分け,術前の全身臓器障害,生体防御障害および術後合併症について計量的に評価したところ,それらはいずれも70歳以上の高齢者群で最も高度であった.そこで,術前機能障害と術後合併症の相関係数を求めると,臓器障害は臓器固有の術後合併症と相関しないのに対し,生体防御障害は術後合併症と有意に相関し,これは特に高齢者でより明瞭であった.また,高齢者の術後合併症死の予測は,生体防御機能によって87.5%になしえたが,臓器機能では50%にしかなしえなかった.以上より,食道癌手術の適応判断,特に高齢者のそれには,術前の生体防御障害への配慮が必要と考えられた.

索引用語
高齢者食道癌, 手術適応, 生体防御障害

日消外会誌 20: 2421-2426, 1987

別刷請求先
斉藤 貴生 〒879-56 大分県大分郡挾間町医大ケ丘1-1506 大分医科大学第1外科

受理年月日
1987年5月6日

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