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第20巻 第10号 1987年10月 [目次] [全文 ( PDF 437KB)]
特集

食道癌手術後にみられた多臓器障害の検討

本島 悌司, 鍋谷 欣市, 小野沢 君夫

杏林大学第2外科

 食道癌切除200例のうち術後多臓器障害(multiple organ failure;MOFと略す)が29例(14.5%)にみられ,その死亡率は75.9%であった.切除術後はMOFの準備状態下にあるといってもよく,低酸素血症の増悪,術後出血,感染源の存在はMOFに陥入らせる重要な因子である.MOF発生例には,術前耐糖能の異常や肝機能障害や呼吸機能障害や血小板減少が有意に高率にみられた.またMOF発生例には術前PHA幼若化能の低下もみられ,MOF非発生例よりもやや高年齢であった.これらのことを知っておくことと同時に,再建臓器を頸部まで挙上しておくがあえて吻合しない手術術式の工夫などはともにMOF発症の予知となり,予防となるものと思われる.

索引用語
食道癌切除術, 多臓器障害

日消外会誌 20: 2447-2450, 1987

別刷請求先
本島 悌司 〒181 三鷹市新川6-20-2 杏林大学医学部第2外科

受理年月日
1987年5月2日

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