特集
術後非閉塞性高度黄疸肝不全より発生する多臓器不全の病態
山本 正之, 井上 慎吾, 飯村 譲, 長堀 薫, 藤井 秀樹, 青山 英久, 大盛 芳路, 松本 由朗, 菅原 克彦
山梨医科大学第1外科
待機的開腹術後肝不全(T. Bil>10 mg/dl)よりMOFへ移行した25例の病因は,A)術中の肝血流障害,出血性ショック,B)術後胸腔または腹腔内に感染源があり遷延する発熱を伴う時にわけられ,生体防御機構に障害があるとみなせる症例であった.A)群ではB)群より早期に,意識障害,腎不全に陥りやすく,B)群では胸水貯留または腹腔内感染による発熱と緩徐なT.Bilの10 mg/dlまでの上昇後黄疸は急速に増強するが,意識障害,腎不全の発現は遅い.両群とも最終臨床像は消化管出血,血液凝固不全である.現時点では効果の確実な肝補助装置はなく,ケトン体比の経日的観察やプロトロンビン活性値の急低下によって膿瘍の発生を予知し,発見除去に努める事が肝不全を防ぐ手段である.
索引用語
術後肝不全, 多臓器不全, 生体防御機構
日消外会誌 20: 2455-2459, 1987
別刷請求先
山本 正之 〒409-38 山梨県中巨摩郡玉穂町下河東1110 山梨医科大学第1外科
受理年月日
1987年5月2日
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