特集
多臓器障害(肝不全)の病態と治療法の検討
江端 俊彰, 南田 英俊, 後藤 幸夫, 東 薫, 平池 則雄, 山本 雄治, 鳥本 勝司, 戸塚 守夫, 早坂 滉
札幌医科大学第1外科
消化器外科における合併症として多臓器障害(multiple organ failure:MOF)があるが,そのうちの肝不全につき病態と治療法につき臨床例と動物実験による成績を検討した.昭和50年1月より昭和61年12月までの12年間で,当科での開腹術4,188例中,MOFは48例,1.15%であった.そのうち肝不全は25例で,50~69歳に多く,72%の死亡率であった.肝不全と合併する他の臓器障害では腎不全を合併する症例が72%と高率に認められた.重症感染症より肝不全に陥る実験モデルでは,肝細胞において解糖系の亢進,糖新生系の低下がみられた.肝不全の治療は,栄養補給,グルカゴン・インシュリン療法,ステロイドの投与,血漿交換療法を行っているが,感染,エンドトキシンの対策も重要である.
索引用語
多臓器障害と肝不全, 肝不全の治療, 肝の糖代謝障害
日消外会誌 20: 2460-2463, 1987
別刷請求先
江端 俊彰 〒060 札幌市中央区南1条西16丁目 札幌医科大学第1外科
受理年月日
1987年5月22日
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