特集
多臓器障害の対策と治療―総合的治療法の意義―
望月 英隆, 初瀬 一夫, 西田 正之, 吉村 一克, 玉熊 正悦
防衛医科大学校第1外科
開腹手術症例4,430例のうち術後に多臓器障害(multiple organ failure;MOF)を合併した85例を対象にその発症要因と発症の特徴を分析した結果,対応策として救急手術や大侵襲手術後の予防的臓器管理,早期の感染巣発見と誘導術,細菌性因子の除去,播種性血管内凝固(disseminated intravascular coagulation;DIC)対策,栄養管理などを総合的に行うことの必要性が示された.このような総合的対策を駆使している1984年以降のMOF救命率は特に3臓器障害以下で40%とそれ以前に比べて明らかに良好であり,本対応策の有効性が示された.しかし術後MOFの発生率にはいまだ満足すべき改善はなく(2.04%→1.53%),MOF全体の死亡率(最近でも68.7%)も依然高率であった.本症の治療成績のさらなる向上のためには新しい対策が必要であることを強調した.
索引用語
多臓器障害発症因子, 多臓器障害の対策, 血漿交換
日消外会誌 20: 2464-2467, 1987
別刷請求先
望月 英隆 〒359 所沢市並木3-2 防衛医科大学校第1外科
受理年月日
1987年5月2日
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