原著
食道静脈瘤に対する内視鏡的硬化療法―prospective randomized studyによる硬化剤5%ethanolamine oleateの多量注入法と少量注入法の比較検討―
磯 恭典, 北野 正剛, 岩永 哲也, 東 秀史, 小柳 信洋, 杉町 圭蔵
九州大学第2外科
5%ethanolamine oleateによる内視鏡的硬化療法において,1回最大注入量を30 ml以下とする多量注入群(LVG)と15 ml以下とする少量注入群(SVG)をprospective randomized trialとして各15例に施行し両群を比較した.胸痛・発熱の小合併症は両群で差はないが,SVGでは3例に再出血をきたした.1週後の内視鏡所見でも,Form縮小率,RCS消失率がLVGで93.3%であるのに,SVGでは60.0%,53.3%と有意に低率だった.一方静脈瘤完全消失にLVGでは4.1週に3.7回,SVGでは6.3週に5.5回のEISを要した.すなわちSVGでは期待された小合併症の減少はなく,逆に再出血の危険性が増加した.よって安全確実なEISを施行するためには,LVGがより優れた方法と結論された.
索引用語
食道静脈瘤, 内視鏡的硬化療法, 5%ethanolamine oleate, 硬化剤注入量
日消外会誌 20: 2477-2481, 1987
別刷請求先
磯 恭典 〒812 福岡市東区馬出3-1-1 九州大学医学部第2外科
受理年月日
1987年5月13日
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