原著
Fructose門脈内投与による肝エネルギーレベルの操作
中谷 寿男, 小澤 和恵, 佐藤 俊英1)
京都大学第2外科, メリーランド大学病理1)
ハムスターの門脈内にfructose溶液を持続投与し,肝臓のenergy charge(EC)を操作することを試みた.10,20,40%fructose溶液を0.25 ml/100 g/15分の速度で門脈内投与すれば肝臓のECは急速に低下し,15分間の実験中そのレベルを維持したが,10,20%溶液の静脈内投与では低下しなかった.このことは門脈内にfructose溶液を投与することにより,他の臓器に影響を及ぼすことなく肝臓のECを操作しうることを示している.このモデルを使って肝ECを低下させれば,アンモニアの解毒が遅れることが示された.このモデルは,ある物質を肝臓が代謝する能力と,肝臓のエネルギーレベルとの関係をin vivoにおいて検討するのに有用である.
索引用語
肝エネルギーチャージ, fructose, アンモニア負荷
日消外会誌 20: 2536-2543, 1987
別刷請求先
中谷 寿男 〒173 板橋区加賀2-11-1 帝京大学救命救急センター
受理年月日
1987年5月11日
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