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第20巻 第11号 1987年11月 [目次] [全文 ( PDF 521KB)]
原著

肝硬変併存肝癌に対する肝切除術後の血液稀釈状態下における循環動態の検討

石山 秀一, 片桐 茂, 瀬尾 伸夫, 飯沢 肇, 布施 明, 吉村 信幸, 佐藤 淳, 川村 博司, 塚本 長

山形大学第1外科

 肝硬変併存肝癌11例を対象に,肝硬変併存肝癌に対する肝切除術後に生じる血液稀釈状態下の循環動態,特に酸素需給状態について検討した.術後のHt値は術後3~4日目に最低値を示し,以後徐々に回復した.Ht値の減少とともに心指数は上昇したが上昇の程度はHt値が低い症例で顕著であった.分時酸素運搬量はHt値の低下とともに減少した.しかし,酸素消費量は危険域には達せず,Htの最低値が16%となった1例を除き,酸塩基平衡の異常はみられなかった.また,血中乳酸値の増加や心電図上,心筋の虚血を思わせる所見もみられなかった.少なくともHt値が20%までは心機能障害がない限り,輸血を行わずに安全に管理できるものと考えられた.

索引用語
肝硬変併存肝癌, 肝切除術後血液稀釈状態, 肝切除術後循環動態, 酸素需給状態

日消外会誌 20: 2550-2554, 1987

別刷請求先
石山 秀一 〒990-23 山形市蔵王飯田字西の前 山形大学医学部第1外科

受理年月日
1987年5月13日

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