原著
消化器手術後の細網内皮系貪食能および血中fibronectinの解析
神本 行雄, 山口 卓雄, 平岡 武久*, 持永 瑞惠, 平田 智美, 宮内 好正*
熊本労災病院外科, *熊本大学第1外科
消化器手術43例を対象とし,細網内皮系貪食率,血中fibronectinを測定し,手術前後の変動を検討した.細網内皮系貪食率は術後早期に低下し,大手術侵襲群,高齢者群に低下が顕著であった.術後の血中fibronectinは,手術侵襲が大きい程低下し,大手術侵襲群では術前値への回復が遅延し,貪食率と血中fibronectinの術後変動に解離があった.術後合併症発生例では貪食率の低下があり,また,術後の血中fibronectin値は低値で推移した.新鮮凍結血漿の投与は術後の血中fibronectinの低下を軽減した.細網内皮系機能の評価には血中fibronectinとともに,直接,貧食率を測定すべきであり,貪食率の評価には年齢も考慮し,血中fibronectinの評価にはその推移をみるべきと考えられる.
索引用語
網内系貪食率, fibronectin, 新鮮凍結血漿
日消外会誌 20: 2593-2598, 1987
別刷請求先
神本 行雄 〒866 八代市竹原町1670 熊本労災病院外科
受理年月日
1987年6月8日
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