原著
胸部食道癌術後の肺合併症―過去10年間の症例の検討―
北村 道彦, 西平 哲郎, 平山 克, 河内 三郎, 加納 正道, 赤石 隆, 標葉 隆三郎, 関根 義人, 片山 正文, 実方 一典, 増田 真幸, 樋口 則男, 渡辺 泰章, 橋本 雄二, 森 昌造, 葛西 森夫1)
東北大学医学部第2外科, 東北逓信病院外科1)
昭和51年より60年までの10年間に手術した胸部食道癌275例を対象とし術後の肺合併症について検討した.肺合併症は70例(25.5%)に発生した.近年,手術適応と手術操作が拡大しており,それに従って肺合併症の発生も増加する傾向がみられた.高齢者,呼吸器疾患の既往を有する例,低肺機能例では肺合併症の発生率が高い傾向がみられ,術式によっても発生率に差がみられた.高齢,低肺機能などのリスクを有する例に適応とした分割手術では肺合併症の発生率が一期手術と同等であり,リスクの高い症例には試みてよい術式と思われる.術後1カ月以降にも26例(9.5%)に肺合併症が発生しており,術後長期にわたり注意深い呼吸管理が必要と思われる.
索引用語
食道癌術後肺合併症
日消外会誌 20: 2706-2711, 1987
別刷請求先
北村 道彦 〒980 仙台市星陵町1-1 東北大学医学部第2外科
受理年月日
1987年7月8日
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